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入社初日、初めての友だち PAGE2

مؤلف: 日暮ミミ♪
last update آخر تحديث: 2025-04-18 10:32:07

 彼女のスピーチは、すごく分かりやすかった。そして、社員への愛情がありありと表れていた。

 このスピーチにはきっと、原稿がないのだろう。彼女の心の内をそのまま語っているように、わたしには感じられた。

 やっぱりこの子――いや、この人はまだ若いけれど、大きな組織のトップに立つ器の人なのだ。

 絢乃会長はわたしたち新入社員一人一人に、「自分の仕事の中でやり甲斐(がい)を見つけてほしい」「自分の仕事を好きになってほしい」とおっしゃって、適度な長さでスピーチを締めくくられた。

『――では最後に、山崎(やまざき)人事部長より新入社員への辞令を配付しますので、名前を呼ばれたら一人ずつ前に来て下さい』

 司会の人がそう言うと、さっきまで絢乃会長がいらっしゃった演台のところに人事部長さんが――入社面接の時、わたしに自分の言葉で志望動機を話すようにおっしゃったあの面接官の人が立たれた。

「あの人……、面接の時の人だ」

 人事部長さんは山崎(おさむ)さんという名前らしく、五十代くらいの渋いおじさまという感じの人だ。見た目は厳しそうな人だけれど、実はすごく優しい人だとわたしはもう知っているので、怯えることもなかった。

『――矢神麻衣さん』

「はいっ!」

 わたしは元気よく返事をして、壇上に上がった。辞令を受け取る時、人事部長さんはわたしの顔をじっと見つめ、笑顔で励まして下さった。

「君は、あの面接の時の人ですね。入社おめでとう! これからともに頑張っていきましょう!」

 彼はわたしのことを憶えていて下さったらしい。わたしはすごく嬉しかった。

 だってあの日、わたし以外に何十人、何百人もの就活生が面接に来ていたはずだもの。わたしなんか、その中の一人でしかなかったはずなのに……。

「はい! この会社に入社できたのは、部長さんのおかげです。ありがとうございます! 頑張ります!」

 わたしは部長さんに深々とお辞儀をして、受け取った辞令の紙を大事に抱きしめるようにして自分の席に戻った。

 入江くんはわたしより前に呼ばれていて、もう辞令を受け取ったはず。さて、彼はどこの部署に配属されたんだろう……? そういうわたし自身も、まだ辞令を見る勇気が出ずにいるけれど。

「――ねえ、矢神麻衣ちゃんだよね?」

「えっ? ……うん、そうだけど……」

 わたしのすぐ隣に座っているちょっと気の強そうな女の子が、わたしに話しかけてきた。でも、わたしは早くも人見知りが発動してしまい、戸惑ってしまった。

 ちなみに、入社式の座席は男女別になっているだけで、特に名前順に座らないといけない決まりはないらしい。

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  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   宮坂耕次という男 PAGE3

     ――宮坂くんは入江くんと違って、大学からの同級生だった。彼は入学した時から、わたしのことをロックオンしていたらしい。 もっと可愛い子なんて他にもいっぱいいたのに、どうしてわたしみたいな地味で目立たない子がよかったんだろう? それは今でも不思議に思っている。 ……と、ここまではよくある一目ぼれだったのかもしれないけれど、宮坂くんの異常さはここからだ。 わたしは二年生の頃に一度、彼から告白されたけれど、ずっとハッキリとは返事をしていなかった。それにも関わらず、彼はわたしの彼氏になったつもりでしつこくつきまとってきたのだ。そのうえ、わたしと付き合ってもいない入江くんを目の敵にするようになった。 それ以来、彼はことあるごとにわたしのスマホに電話攻撃や大量のメールやショートメッセージを送りつけてくるようになり、それを無視すれば「どうして返事をくれないんだ」「どうして電話に出てくれないんだ」と所かまわず構ってちゃんになる。「俺たち付き合ってるのに」と。 入江くんにはこのことで何度も相談に乗ってもらったし、彼から何度も宮坂くんに「やめろ」と注意してもらったけれど、恋敵だと思い込んでいる相手の忠告なんて素直に聞き入れてもらえるわけもなく、彼のつきまとい行為はずっと続いている。 そしてとうとう、会社にまで乗り込んできた。こうなったらもう、迷惑を通り越して恐怖でさえある。両親にもこのことはまだ話していないので、どう対処していいのか分からなくて困っているのだ。「……わたしも悪かったんだと思います。告白された時に、ハッキリ『あなたとは付き合えない』って断ればよかったのに。ずっと返事を曖昧にしてたからこんなことに――」「矢神さん、それは違うんじゃない? このテの男は、たとえ断ってもしつこくつきまとってくるよ。私もこれまで色~んな男を見てきたから分かるんだけどさ。だから、『自分も悪い』なんて思っちゃダメ。あなたは悪くないから。ねっ?」「…………はい。ありがとうございます」「って言ったところで、警察に頼っても何もしてくれなさそうだし。どうしたもんかなぁ?」「そうですよね……」 こういう時、頼れる相手が少ないというのは困りものだ。とりあえず入江くんには話すつもりだけれど、やっぱり最終的には会長の力を借りるしかないのかな? あまりご迷惑をかけたくはないのだけれど……。「

  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   宮坂耕次という男 PAGE2

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  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   宮坂耕次という男 PAGE1

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  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   親睦会とアイツの影 PAGE6

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  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   親睦会とアイツの影 PAGE5

    「ところでお二人さん、飲み物と主食(メシ)は持ってきたか?」「もうバッチリさ! あたし、コンビニでウーロン茶とおにぎり買ってきた。鮭とツナマヨ」 佳菜ちゃんは張り切って入江くんの質問に答えたけれど、バーベキューに具入りのおにぎりって合うのかな? ちょっと重くない?「お前、胸焼けすんぞ。――矢神は?」「わたし、ゴハン持ってきてないや。麦茶は買ってきたけど。昨日の晩ゴハンで炊飯器の中空(から)っぽになっちゃって」 いつも必要な分だけしかお米を炊いていないので、今日持ってくる分のゴハンまでは計算に入れていなかった。さて、どうしたものか?「ああ、大丈夫だ。そういう人のためにこっちでもおにぎり用意してるから、あっちでもらって来いよ」「よかったぁ。じゃあ、ちょっと行ってくるね」 わたしはおにぎりを握ってくれているという、流し場へ向かった。焼く前の野菜やお肉などの調理もそこで行っているのだとか。「おはようございます。秘書室の矢神ですけど、ここでおにぎりをもらえるって聞いて……、あ」「おはようございます、矢神さん」 そこでせっせとおにぎりを作っていたのは、なんと絢乃会長だった。それを桐島主任もお手伝いしているではないか!「えっ、おにぎりって会長が握られてるんですか? でもどうして」「この会を発案したのはわたしだからね。全部人任せっていうのは何だか申し訳なくて、わたしもできることはさせてもらうことにしたの」「会長は料理がお上手なんだ。僕も会長に胃袋をガッチリ掴まれてるよ」「そうだったんですね……」 会長って名家のお嬢さま育ちなのに、家庭的な女性なんだな。なるほど、主任がこの人に惚れ込んじゃうわけだ。「天は二物を与えず」っていうけれど、この人には二物も三物も与えている。可愛らしくて優しくて、頭もよくてしっかり者で、お料理まで得意なんて羨ましすぎる。「――おにぎり、二個で足りる? 足りなくなったらまた声をかけてね」「はい、ありがとうございます。今日は楽しんで帰ります」 わたしはおにぎり二個をパックに詰めてもらい、いそいそと入江くんと佳菜ちゃんのいるバーベキュー台へ戻っていく。まさか、ここにアイツが来るなんて思いもせずに――。

  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   親睦会とアイツの影 PAGE4

     ――それから、わたしは小川先輩の側で順調に秘書の仕事をマスターしていった。 社長秘書の仕事は会長秘書ほどじゃないけれど覚えることがたくさんあって大変だ。でも、早く先輩たちの役に立ちたくて、一生懸命勉強した。 どの会社にもお局(つぼね)さまみたいな人は一人くらいいるものだと思っていたけれど、幸いにも篠沢商事にはそんな人は一人もいないんだと分かった。 困っている部下や後輩がいたら助けるというのがこの会社の社風らしいけれど、この当たり前のことが他の企業ではできていないんだというのが世の中のおかしなところだとわたしは思う。そこはやっぱり、トップである絢乃会長が模範を示されているからだろう。 宮坂くんの連絡先をブロックしたおかげで、わたしのスマホはあれから静かになった。佳菜ちゃんや入江くん、会社の人などからは連絡が来るけれど、一日に何十件、何百件も来るわけじゃないのでそんなに怯える必要もなくなったし。 ただ、この静けさがわたしには何だか不気味に思えて仕方がない。ある日突然、宮坂くんが予告なしにわたしの前に現れそうで……。「いいか、矢神。宮坂がお前の前に現れたら、すぐにオレに電話しろよ。すぐすっ飛んで行ってやるからな」「うん、分かった。ありがと、入江くん」 怖いことは怖いけれど、入江くんがいてくれるから安心できる。だから、わたしは怯えずに過ごすことができた。   * * * * ――そして、バーベキュー親睦会当日の朝がやってきた。「さて、何着て行こう?」 洗顔を終えたわたしは小さなクローゼットの前で首を傾げた。 仕事に行くわけではないのでスーツを着る必要はないし、バーベキューに行くのにオシャレをしても仕方がない。そもそも、わたしはそんなにオシャレな服なんて持っていないし。 というわけで、七分袖のTシャツにデニムのワイドパンツを合わせ、上からパーカーを羽織っていくことにした。足元はスニーカーでもいいけれど、ここは一応女子としての矜(きょう)持(じ)でフラットパンプスを選んだ。  お昼はお腹いっぱい食べたいので、朝食は軽めにして家を出た。もちろん、鍵もしっかりかけて。「――おはよ、入江くん。朝から準備ご苦労さま」「おはよー、入江くん。ははっ、顔もう煤(すす)で真っ黒じゃん」 途中で佳菜ちゃんと合流し、会場である荒川(あらかわ)沿いのバーベキ

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